肘の外側が、ものを持ち上げるたびにズキッと痛む。タオルをしぼる、フライパンを持つ、ドアノブをひねる――そんな何気ない動作のたびに、顔をしかめてしまう。
湿布を貼った。サポーターも巻いた。痛み止めも飲んで、思い切って注射もしてもらった。そのときは、たしかに楽になった。「もう治った」と思ったのに――しばらくすると、また同じ場所が痛みはじめる。
この記事を読んでくださっているあなたは、きっとそんな「繰り返し」に、うんざりしはじめているのではないでしょうか。
横浜・元町中華街の横浜まのあ鍼灸院には、そうやって色々な方法を試したあとに来られる方が少なくありません。
そして多くの場合、痛みが繰り返す理由は「あなたの努力が足りないから」でも「治らない体質だから」でもありません。まだ、本当に手を打つべき場所に、手が届いていなかっただけなのです。
「もう治ったと思ったのに、また痛む」――テニス肘が厄介な理由
テニス肘は、正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」と呼ばれます。肘の外側の出っぱった骨のあたりに痛みが出るものです。
「テニス肘」という名前がついていますが、実際にはテニスをしていない方のほうがずっと多く来られます。
パソコン作業、料理、掃除、赤ちゃんの抱っこ、レジ打ち、美容師さんのハサミ――手首や指をよく使う人なら、誰にでも起こりうる症状です。
そして何より厄介なのが、「一度良くなっても、また戻ってくる」ことです。安静にして、湿布を貼って、痛みが引いた。だから普段の生活に戻る。すると、また同じところが痛みはじめる。この繰り返しに、心当たりのある方は多いはずです。
なぜ、こんなに繰り返すのか。その答えは、「痛みの出ている場所」と「痛みの原因になっている場所」が、実は違うところにあるからです。
テニス肘は、本当は”肘”の問題ではない
痛むのは肘の外側。だから、つい「肘が悪い」と思ってしまいます。けれど、体の作りを少していねいに見ていくと、少し違う景色が見えてきます。
手首を反らせたり、指を伸ばしたりする筋肉(前腕の伸筋群=しんきんぐん)は、前腕――つまり肘から手首までの部分――にあります。この筋肉たちは、腱という丈夫なひも状の組織になって、肘の外側の骨に付着しています。

手や指を使うたびに、この前腕の筋肉は縮んだり伸びたりして働きます。使いすぎたり、疲労がたまったりすると、筋肉そのものが硬くこわばってきます。硬くなった筋肉は、まるで縮んだゴムのように、腱の付着部――つまり肘の骨を、内側からぐいぐいと引っ張り続けます。
引っ張られ続けた付着部は、常に負担がかかって炎症を起こし、痛みを出します。これが、テニス肘の”痛みが出ている場所”の正体です。
つまり、痛いのは肘でも、その痛みを生み出しているのは前腕の奥でこわばった筋肉だということ。ここが、とても大事なポイントです。
なぜ、安静・湿布・注射では繰り返すのか
ここまで読んでくださると、繰り返す理由が少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
安静にする、湿布を貼る、痛み止めを飲む、注射をする。これらはどれも、「肘の痛みや炎症をやわらげる」ための方法です。つらいときには、とても大切な手当てですし、必要な場面もあります。
けれど、これらの多くは「痛みが出ている肘」に向けた対処です。痛みの引き金を引き続けている、前腕の奥のこわばった筋肉そのものには、なかなか届きません。
だから、その場は楽になります。炎症がおさまれば、痛みも引きます。でも、原因になっている前腕の筋肉が硬いまま残っていれば、日常を取り戻して手を使ううちに、また同じように腱の付着部が引っ張られ、痛みがぶり返してしまう。
これが、「もう治ったと思ったのに、また痛む」の正体です。あなたのケアが間違っていたわけではなく、痛みの”火元”にまだ手が届いていなかった、ということなのです。
北京堂浅野式が”届く”場所
横浜まのあ鍼灸院がおこなっている北京堂浅野式の鍼は、まさにこの「前腕の奥のこわばった筋肉」に、直接アプローチすることを得意としています。
まず、施術の前に前腕をていねいに触診します。指で押していくと、多くの場合、患者さんご自身も気づいていなかった「硬いしこり(硬結=こうけつ)」が見つかります。「あ、そこ!」と思わず声が出る方も少なくありません。痛みの引き金になっている場所は、肘そのものではなく、少し離れた前腕の奥にあることがほとんどです。
その硬結に向けて、鍼を深く届かせます。表面をなでるような刺激ではなく、こわばった筋肉そのものにアプローチするので、「ズーン」と響くような独特の感覚(得気=とっき)が出ます。この響きが、こわばった筋肉がゆるみはじめるサインです。
筋肉がゆるめば、腱の付着部を引っ張る力が弱まります。引っ張る力が弱まれば、肘への負担も減っていく。痛みの”火元”そのものに手を入れていくのが、この治療の考え方です。
治療後の経過
ここは、正直にお伝えしておきたいところです。深部の筋肉にしっかり鍼を届かせたあとは、2〜3日ほど、筋肉痛のようなだるさや重さが出ることがあります。運動のあとに感じる、あの筋肉痛に近い感覚です。
「鍼を打ったのに、なんだか重い」と感じるかもしれません。でも、これはこわばっていた筋肉がゆるみ、体が反応している自然な経過です。多くの方は、その筋肉痛が抜けたあとに「肘が軽い」「動かしても痛くない」と、すっきりした感覚を実感されます。
もちろん、一度で長年の痛みがすべて消えるわけではありません。こわばりが深い方、長く繰り返してきた方ほど、筋肉は少しずつゆるめていく必要があります。けれど、痛みの本当の原因に手を入れていくことで、「痛い→休む→また痛い」という繰り返しの輪から、少しずつ抜け出していけるのです。
なお、まれにですが、腱そのものが大きく傷ついている場合や、しびれをともなう場合など、鍼灸だけでは対応が難しく、医療機関での検査や治療が必要なケースもあります。そうしたときは正直にお伝えしますので、ご安心ください。
「もう治らない」ではなく、「まだ届いていなかった」だけ
湿布も、サポーターも、注射も試した。それでも肘が痛む。そんなあなたに、いちばんお伝えしたいのはこのことです。
痛みが繰り返してきたのは、あなたの体が「治らない体」だからではありません。痛みの本当の原因――前腕の奥でこわばった筋肉に、まだ手が届いていなかっただけなのです。
タオルをしぼる、フライパンを持つ、ドアノブをひねる。そんな何気ない動作を、顔をしかめずにできる毎日を、もう一度取り戻していきましょう。届くべき場所に、きちんと届けば、体はちゃんと応えてくれます。
横浜・元町中華街の横浜まのあ鍼灸院では、女性鍼灸師が一人ひとりの体をていねいに触診し、完全予約制でじっくり向き合います。繰り返す肘の痛みにお悩みの方は、どうぞ一度ご相談ください。

